小児科
小児科
小児科は子どもの多様な疾患に対応する診療科です。小児の病気は症状の訴えがなかったり、わかりにくかったりという特徴があります。また、発症や進行が急であることが多く、病気の種類も多数存在します。子ども特有の感染症もあり、感染症にかかりながら免疫を得ていくために、一生で最も感染症にかかることが多い時期といえます。子どもの病気は大人とは様々な点で異なるため、日ごろから状態や平熱、顔色などをよく観察しておくことが大切です。「いつもと違う」という親の直感が、重大な病気の発見につながることもよくあります。お子さんの症状やお困りのことは何でもご相談ください。
このような症状の方はご相談ください
お子さんの症状やお困りのことは何でも相談をお受けしますので、お気軽にご相談ください。
子どもの受診でもっとも多いのが発熱です。37.5℃以上を発熱と考え、それ以下であればほとんどの場合、心配がいりません。
お子さんが熱を出すと心配になりますが、幼い子どもは感染する様々なウイルスが初めてであり、感染の都度、その防御反応としてよく熱を出します。また、体力もなく、疲れたり、興奮したりしただけでも熱が出ることがあります。発熱は病気のサインとして重要なうえ、体の防御反応ですから、むやみに薬で熱を下げる必要はありません。解熱剤などは医療機関の診察で病気の状態が把握されてから、医師の指示のもとで安全に使用してください。
幼稚園や保育園などに通いはじめたころは体調も崩しやすくなります。お子さんの様子を十分に観察して適切に対応しましょう。
但しCovid-19流行が生じてからは様々なケースが見受けられます。無症状や微熱のみのCovid-19陽性、1日だけ38度以上の高熱が出て翌朝には解熱剤の使用なく平熱に下がったが、検査するとCovid-19陽性やインフルエンザA型陽性、あるいはB型陽性になるケースが検査を行った半数近くで認められます。2023年秋以降、インフルエンザやアデノウイルス感染に関しては継続的に陽性者が出ており、また時期を問わず、手足口病、RSウイルス感染、溶連菌感染症などが一時的にまた局所的に流行し、流行している地域が移動している状況です。
突発性発疹は、2歳までにほとんどの人がかかるとされている頻度の高い感染症です。発症すると、突然38℃以上の高熱が現れますが、食欲がない、機嫌が悪い、ぐったりしている、といった全身症状が目立たないケースが多いことも特徴です。通常、発熱は3〜4日で自然に治まりますが、解熱後に全身に発疹が多数みられます。発疹は小さなプツプツとしており、3~4日ほどで跡を残さず消失します。かゆみや痛みなどは伴いません。一般的に後遺症を残すことなく1週間程度で自然治癒する病気ですが、熱が上昇する際に熱性けいれんを発症することもあります。
麻疹ウイルスによって引き起こされる全身感染症であり、空気・飛沫(ひまつ)・接触感染経路によって鼻やのどから感染します。通常は10〜12日間の潜伏期を経て発症し、発熱、咳、鼻水、目の充血、赤くかゆみのある発疹などの症状が現れます。一度感染すると免疫は一生持続するとされています。日本では麻疹ワクチンの普及により、麻疹の患者さんは減少していますが、1か月以上蕁麻疹(じんましん)が出たり消えたりする慢性蕁麻疹の場合は、治療が長期になることもあります。
高熱が5日程度続く感染症です。目にも感染しやすく、目の充血、目やにを伴う場合は、プール熱とも呼ばれます。急な発熱からはじまることが多く、39〜40℃くらいまで上がることもあります。熱は昼間に下がり、夕方になると上がるなど上下する場合もあり、高熱の割に比較的元気なケースもあります。症状は、初期に熱だけのことも多く、途中から喉の痛みや咳、鼻水が出ることがあります。治療薬はなく対症療法を行います。感染力が強いため、熱が治まっても2日程度は幼稚園や学校などは休むようにしましょう。
夏かぜのウイルスで起こる病気で、手のひら、足のうら、口の中に水疱(水ぶくれ)ができるのが特徴です。
生後6か月くらいから4~5歳ころの乳幼児に多く、夏に流行します。感染した子の咳やくしゃみを吸い込んでしまう飛沫感染や便から排泄されたウイルスが手に付着し経口感染することもあります。
潜伏期間は3~5日くらいです。口の中の発疹は盛りあがったり、水をもったりするブツブツで、破れて潰瘍になると、刺激のある物を食べるとしみて痛がるようになります。
口の中の症状に少し遅れて、手のひら、足のうらなどに生米くらいの水疱性の発疹ができます。この発疹は吸収されて一週間以内に治りますが、まれに髄膜炎を合併することがありますので、高熱や頭痛、ひきつけ、嘔吐などの症状が伴う場合は、すぐに受診しましょう。
2023年以降は季節を問わず、一部の園で一時的に生じ、また別の園で流行しているを繰り返している印象です。
夏夏かぜのウイルスで起こる病気です。水疱ができて発熱がある点で、手足口病と似ていますが、手や足には発疹は出ず、口だけに症状が現れます。乳幼児の間で流行し38〜40℃の高熱が2~3日続きます。のどの奥に小さな水ぶくれができ、痛みがあり食べることが困難になります。重度の場合、水分も飲めず脱水症になることもあります。熱は2~3日で下がり、水疱も一週間くらいで治ります。治療は喉の痛みを抑える薬の服用などで対症療法を行います。
2023年以降は秋や初冬でも散見しています。
正式には流行性耳下腺炎といい、感染力が強い病気として知られています。ムンプスウイルスによる感染症で、主な症状は熱と耳下腺の腫れです。耳の下から頬やあごなどが腫れて痛みます。まず片方が腫れ、2~3日経ってもう片方が腫れてくる場合もありますが、片方だけが腫れることもあります。耳下腺の腫れと同時に発熱がみられることもあり、3日目くらいが腫れも熱もピークとなります。その後、1週間程度で治ります。かかりやすいのは幼児期後半なので予防接種は2~3歳までに済ませておくとよいでしょう。幼稚園や保育園など集団生活に入る前が適切な時期といえます。
インフルエンザウイルスによる急性熱性感染症で、通常、寒い季節に流行します。感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間の後に、38℃以上の突然の高熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などが現れ、咳、鼻汁、咽頭痛などの症状がこれらに続き、およそ1週間で軽快します。主な合併症としては肺炎、脳症が挙げられます。通常のかぜ症候群とは異なり急激に発症し、全身症状が強いことが特徴です。
季節性インフルエンザはいったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が拡がります。二次感染、合併症の予防のためにも、できるだけ早く受診することが大切です。
胃腸炎のほとんどはウイルス感染(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)で、一部に細菌性(カンピロバクター、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌など)が見られます。ウイルスが付着した料理を食べたり、手指についたウイルスが口に触れたりすることで感染し、冬場、幼稚園や小学校などで集団発生することも少なくありません。
症状は下痢、腹痛、嘔吐、発熱が多く、治療は脱水を予防し、症状に合わせた内服薬を服用します。細菌性が疑われる場合には抗生物質を使用することもあります。脱水予防には、自宅で出来る経口補水療法(ORT oral rehydration therapy)が効果的です。
家族に感染することも多いので、家族全員で手洗いを十分するように心がけましょう。
水痘・帯状疱疹ウイルスが咳やくしゃみで飛び散り、それを吸い込んだり(飛沫感染)、水疱が破れて出てきた液に触ったりする(接触感染)ことで起こります。37~38度程度の発熱とともに、赤い小さな発疹が現れます。発疹は、水が入ってふくらんだ水疱になり、かゆみが強くなります。水疱は2~3日でしぼみ、黒褐色のかさぶたになり、1週間程度で治ります。水ぼうそうは治ってもウイルスは長く体の神経節細胞内に留まっているため、何年か後に帯状疱疹(帯状ヘルペス)という病気を発症することもあります。
伝染性軟属腫(通称みずいぼ)は、伝染性軟属腫ウイルスによって人から人へうつる、7歳以下の子どもに多い皮膚の感染症です。皮膚が薄くてバリア機能の未熟な乳幼児は、感染し易いです。みずいぼは、ウイルスと変性した表皮組織からなる白っぽい塊がいぼ状に出っ張っています。みずいぼは掻いてつぶれたり、掻かなくてもある程度の寿命で自然に脱落したりしてて、それがまた他の皮膚にくっついてその場所に感染し、次々と広がってしまうことが多いのです。1個できれば、その近くに数個増え、または引っ掻いた指で触わると遠くの皮膚にも感染し、次々と増えてきます。
治療に関して、かかりつけ医でいずれ治るからほっとけばよいといわれることが多いようです。確かにいずれ自然治癒しますが、放置していても治る程度の水いぼであれば、そもそも受診されることはない可能性が高いです。実際には様子を見ている間に治るよりどんどん増加して範囲も広がって打つ手がなく途方に暮れてしまわれることがほとんどです。そのため治療は、数が少ないうちに摘み取るのが最も確実で早く治す方法です。みずいぼが大きい場合はトラコーマ鑷子という、先が輪になったみずいぼ専用の器具でみずいぼの基部を挟み、中の塊をつまみ出します。みずいぼが小さい場合は、小さいみずいぼでもつまめる器具を使用しつまみ出します。多少の痛みはあるものの、10個以内くらいなら小さい子どもでも我慢できることが多いです。しかし何十個となると、もう我慢できず嫌がって泣き抵抗します。無理やり取ると、ほとんどの子は次からは絶対に容易には取らせてくれず、数人で押さえて取らなければならなくなり、お互いに汗まみれで大変な労力を要することになります。治療期間も健康な子どもでは、6か月~3年で自然治癒するとされていますが、個人差が大きくその患児がいつ治るかを予測することは困難です。特に、アトピー性皮膚炎の子どもは、一旦感染すると湿疹を掻くのと一緒に掻いてしまって、全身に無数に増えて広がりやすいのです。また、ステロイドを塗るとみずいぼが増加しますので、アトピー性皮膚炎の治療が適切にできなくなってしまうというデメリットもあります。
当院では従来、硝酸銀を患部に塗布して化学変化を起こして水いぼが取れるという方法で治療しています。掻いてひっかきキズになっている部位でなければ塗布に痛みやかゆみもありません。ただ、塗布部位が一時的に黒くなりますので顔にできた水いぼには対処しにくい状態でした。
半年ほど前から、自費にはなりますが、m-BFクリームという銀配合のクリームを熊本にある会社から取り寄せ、ご希望の方に販売しています。(15gで2200円・税込み)
このクリームは白く、塗布して延ばすと透明になりますので、顔など露出部分にも使用できるメリットがあり、家で1日2回塗布してもらいます。
5歳未満の子どもでは、おねしょ(夜寝ている間の尿漏れ)といいますが、5歳以降で月1回以上のおねしょが3ヶ月以上続く場合は「夜尿症」と診断され、治療が必要な場合があります。
寝て居る間に作られる尿の量が多すぎたり、膀胱に尿を十分ためられなかったりすることが関係しています。夜尿症の場合、膀胱が尿であふれそうになっても起きられないため、、寝て居る間に尿漏れをしてしまいます。
夜尿症はアレルギー疾患に次いで2番目に多い小児の慢性疾患です。夜尿症は5歳では6~7人に1人、10歳では20人に1人、15歳では100人に1人という頻度で生じていて、自然治癒することも多いですが、その時期には個人差があります。
診察では問診と尿検査を行います。腸に便が大量にあると、膀胱を圧迫し膀胱の容量が減りますので、夜尿症に影響を与える可能性があります。便秘を改善することで夜尿症も改善する場合があります。便秘以外でも問診により問題点があるか明らかにしていき、生活改善を図ります。
生活改善を図っても改善しない場合、尿検査で尿比重が低ければ、寝ている間の尿の量を減らす作用のある薬を服用します。
尿比重が高い場合は専門の施設に紹介させていただきます。